高校野球盛衰史「高校編」

 

                          ~全国大会・選抜大会の記録から~ 

 

 

  ①大正年間

1  和歌山中(和歌山)20

2  高松商 (香川) 13

3  松山商 (愛媛) 11

4  早実  (東京) 10

4  鳥取一中(鳥取) 10

6  慶応普通部(東京) 8

6  松本商  (長野)    8

6  愛知一中(愛知)     

9  関西学院中(兵庫) 7

10 広島商  (広島)    6

10 市岡中 (大阪)  6

12 広陵   (広島)    

12 静岡中 (静岡)  5

12 第一神港中(兵庫) 5

12 甲陽中 (兵庫)  5

16 神戸一中(兵庫)     

 

  約100年に渡る高校野球の歴史を各年代毎に分け、全国大会・選抜大会の勝利数を基に高校別に盛衰のようすを調べてみた。

 

    1 大正年間

 約100年前に全国中等野球大会(鳴尾球場・神戸)

が産声を上げた。そして、その10年後に選抜中等大

会(八事球場・名古屋)が始まった。最初は、野球の

普及も限られていて、参加は少なく、地元関西を中

心として、名門公立校、名門私立校が参加していた。

  この大正期10年間の勝利数は、左表①の通りである。1位は和歌山中(和歌山・現桐蔭)で優勝(2回)準優勝に輝き20勝を稼ぎ2位以下に大きく差をつけている。当時和中は、投手井口等の活躍もあり、無敵の強さを誇り、2軍でも他校を寄せ付けない程であった。また、当時では珍しくアメリカチームとも対戦している。2位は13勝の高松商、第1回選抜大会の優勝を含め、優勝(2回)と準優勝に輝き、13勝をあげた。3位は同じ四国の松山商(愛媛)、優勝を1回、

 

11勝あげた。この時代北四国のこの2校のライバル関係は激烈で、以後もその関係は続く。4位は私立の雄早実(東京)、準優勝をし、10勝獲得。西高東低の中、東日本勢の意地を見せている。同じく4位は鳥取一中(鳥取・現鳥取西)10勝、優勝、準優勝はないものの、第一回全国大会第一試合で名誉ある勝利を飾り、常に高いレベルで試合を行った。6位は8勝の3チーム、慶応普通部(東京・慶応)は第2回全国大会で優勝チーム。現在の慶応は神奈川県に属する。同じく6位の松本商(長野・現松商学園)は、大正年間2度準優勝している。同じく6位の愛知一中(愛知・現旭丘)は、大会唯一の敗者復活で優勝を飾ったチームだ。9位関西学院中(兵庫)は優勝、準優勝に輝き、7勝をあげている。10位は6勝の広島商(広島)と市岡中(大阪)、広島商は優勝し、市岡中は大阪代表として孤軍奮闘した。12位以下は、広陵(広島)、静岡中(静岡)、第一神港中(兵庫)、甲陽中(兵庫)、神戸一中(兵庫)と続く。この中でも第一神港中以外は、いずれも優勝をしている。さずがに地元兵庫勢が表に4校登場し、それぞれの学校が優勝している。その後も複数校が活躍する型は続いていく。また都道府県別でも大正期、兵庫の勝利数は1位である。ちなみに2位は和歌山、和中はすべての勝利数に貢献している。3位は早慶の東京である。

 

 ①表の大正期の学校の特色として、勿論創立の古い伝統校があがる。また公立校では、進学校が文武両道で、野球でも活躍しているようすが伺われる。そして、そのことは現在にも伝統として続いている。                   

 

2 昭和元年~昭和10年 

 

  次に昭和元年から10年までの勝利数は、次ページの②表の通りである。また、大正期からの昭和10年までの通算勝利数も次ページ二重枠③表である。

 

  1位は中京商(愛知・現中京大中京)で25勝をあげた。中京商は大正期無名で1勝も記録していなかったが、昭和になり、グーンと伸びてきた。中でも吉田投手等の活躍により全国大会3連覇の偉業を成し遂げた。この記録はその後破られていない。強豪中京の礎を築いた時期とも言える。2位は22勝松山商(愛媛)、この間優勝(2回)、準優勝がある。3位は16勝和歌山中(和歌山)、前回1位でやや下降したが、それでも優勝、準優勝しているところはさすがである。

 

 

②昭和元年~10年

1 中京商  (愛知)   25

2 松山商   (愛媛)    22

3 和歌山中 (和歌山)16

3 広島商  (広島) 16

3 明石中  (兵庫)   16

6 平安中  (京都) 14

7 広陵中  (広島)   13

8 愛知商  (愛知) 11

9 岐阜商  (岐阜)   10

9 第一神港中(兵庫)   10

9 呉港中  (広島)   10

9 高松商  (香川) 10

13松本商  (長野)      

14東邦商  (愛知)      

14海草中  (和歌山) 

16熊本工  (熊本)      

16浪華商    (大阪)       

16甲陽中  (兵庫)      

16鳥取一中 (鳥取)      

16小倉中  (福岡)    

20早稲田実 (東京)      

20静岡中    (静岡)       

 

  同じく3位は広島商、前回10位から春夏合わせて3度の優勝を飾り、16勝をあげた。この時期まで4度優勝は最多でもある。同じく3位は明石中(兵庫・明石)、春の選抜で準優勝2度飾った。語り継がれているのは第19回夏の全国大会準決勝、中京商との延長25回0-1で惜敗した。この延長記録は今も破られていない。6位は平安中(京都・龍谷大平安)、大正期は1度も参加していなかったが、夏準優勝2度飾り14勝、全国の強豪校に名乗りを上げた。7位は広陵中、春夏合わせて4度の準優勝を飾り13勝、前回の12位から躍進した。

 8位以下で目立つところは、8位愛知商(愛知・現瑞陵)11勝、9位岐阜商(岐阜)・呉港中(広島・呉港)10勝、14位東邦商(愛知・現東邦)・海草中(和歌山・現向陽)7勝で、この時期に初登場し、好成績をあげた。9位の第一神港商は、春の選抜大会初の2連覇した。

  大正期から昭和10年までの通算勝利数は、左表③

の通りである。1位は和歌山中36勝、この間優勝(3

 回)準優勝も成し遂げた。特筆されることは夏の全国大会第1回目から14年連続、春では11年連続出場した。和中は全国の強豪と共に和歌山では無敵な存在であった。この連続出場記録は未だ破られていない。2位は松山商33勝、この間優勝3回、準優勝2回を飾り、大正期3位、昭和初期2位と安定的な強さを発

 

 

 

③大正5年~昭和10年

1 和歌山中 (和歌山)36

2 松山商  (愛媛)    33

3 中京商  (愛知)    25

4 広島商  (広島) 22

4 高松商  (香川)    22

6 広陵中  (広島)    18

7 松本商  (長野)    17

8 鳥取一中 (鳥取)    16

8 明石中  (兵庫)    16

10早稲田実 (東京)    15

10第一神港商(兵庫)    15

12平安中  (京都)    14

13関西学院中(兵庫)    11

13甲陽中   (兵庫)  11

13市岡中  (大阪) 11

13愛知商  (愛知) 11

17岐阜商  (岐阜) 10

17愛知一中 (愛知) 10

17呉港中  (広島) 10

17静岡中  (静岡) 10

 

 

揮している。全国の強豪校であると共に四国でもリーダー的な存在だ。3位は25勝中京商、昭和初期に3度優勝を飾り急激に飛躍した。愛知のリーダー的存在ばかりか全国のリーダー的存在になる勢いがある。また、大正期10位の愛知を一気に2位に押し上げた原動力になった。4位22勝広島商、この時点まで4度優勝は最多記録、粘り強い広商野球はこの時形成された。同じく4位22勝高松商、優勝(3回)、準優勝を飾り、四国では松山商のライバルである。6位18勝広陵中、優勝と準優勝(4回)を飾り、この頃から広島商とライバル関係を築き、準優勝以上3度すべてが春で、「春の広陵」を印象づけた。7位は17勝松本商、優勝と準優勝(2度)を記録し、東日本勢最強チームだ。

 都道府県別では、表に4校登場した地元兵庫が1位、単独校の強豪は特に見あたらないが、優勝、準優勝が6度ずつある。2位は中京商や愛知商等が表に登場する愛知、3位は広島、広島商と広陵の2枚看板が勝利数を上げている。4位は和歌山、ほとんどが和歌山中の勝利である。5位は愛媛、松山商がほとんどの勝利数に貢献している。6位は京都、ここも平安中が勝利数を重ねている。7位は大阪、市岡中の健闘が光る。

8位は香川、ここも高松商がポイントを稼いでいる。

東日本勢では9位長野が最高で、松本商が貢献してい

 る。10位は東京で、早慶の活躍が占める。

 

         3 昭和11年~20年

 

 

④昭和11年~20年

1 東邦商  (愛知)22 1 岐阜商  (岐阜 22

3 平安中  (京都)15

4 中京商  (愛知)14

5 海草中 (和歌山)12

6 島田商  (静岡) 9

7 下関商  (山口) 8

7 熊本工  (熊本) 8

9 桐生中  (群馬) 7

9 滝川中  (兵庫) 7 11浪華商  (大阪) 6

12育英商  (兵庫) 5 13松本商  (長野) 4

13愛知商  (愛知) 4

13福岡工  (福岡) 4

 

 昭和11年から昭和20年までの10年間の各校の勝利数だが、左表④の通りである。ただ、この10年間は、戦争の影響もあり、春は6回、夏は5回しか行われていない。よって、この間の勝利数は全体的に少ない。またこの時期は「東海を制する者は、全国を制す」と言われる程、東海勢が強かった。11大会中7回の優勝、6回の準優勝を数える。特に春の選抜では、6大会中5回の優勝、4回の準優勝で、そのうち3回が東海勢同士の決勝戦であった。

 さて、この10年間の1位は東海勢の東邦商(愛知・現東邦)と岐阜商22勝。東邦は優勝2回と準優勝を達成、岐阜商は優勝、準優勝をそれぞれ2回ずつ達成している。3位は平安15勝、夏に優勝、準優勝を飾っている。4位は中京商14勝、以前よりも勢いが衰えたかのようだが、それでも野口兄弟等の活躍により、優勝2回、準優勝を飾っている。5位は海草中12勝、和中に代わるように夏に嶋、真田投手の活躍で2連覇を遂げた。6位は島田商(静岡)9勝、夏に準優勝した。7位は下関

  

 

⑤戦前の勝利数

1 中京商  (愛知) 39

2 和歌山中 (和歌山)36

3 松山商    (愛媛)        35

4 岐阜商  (岐阜)    32

5 東邦商  (愛知) 29 5 平安中  (京都) 29

7 高松商  (香川)    24

8 広島商  (広島)    22

9 松本商  (長野)    21

10広陵中  (広島)    18

10鳥取一中 (鳥取)    18

12明石中  (兵庫) 17

12海草中 (和歌山) 17 14早稲田実 (東京) 16

15愛知商  (愛知  15 15第一神港商(兵庫  15 17甲陽中  (兵庫  14

17熊本工  (熊本) 14

19市岡中  (大阪) 

19浪華商  (大阪  

21呉港中  (広島) 12

21関西学院中(兵庫) 12

23静岡中  (静岡) 10

 

商と熊本工8勝、いずれも準優勝に輝き、熊本工には川上哲治がいた。9位桐生中は東日本勢一の活躍をした。また、今まで活躍していた広島勢や四国勢はランクインしていない。

  大正から昭和20年までの戦前の各校の通算勝利数は、左表⑤の通りである。1位は中京商が39勝をあげて初めて首位となった。優勝も5回、準優勝2回で優勝は最多である。これ以後中京商はずっと1位維持する。2位は和歌山中36勝、県内で海草中の活躍もあり、今回1勝もしていない。3位は松山商35勝、2勝だけで前回から1ランク下げた。4位は岐阜商32勝、この間22勝をあげ前回の17位から急上昇した。5位は東邦商29勝、今回中京商を上回る活躍をして、前回ランク外から大幅にアップした。同じく5位は平安29勝、前回に引き続き活躍し12位からアップした。7位は高松商24勝、2勝しかなく、3ランク下げた。8位広島商、10位広陵中の広島勢は1勝もなく、共に4ランク下がった。東日本勢では、松本商が9位とベストテン内をキープしている。東京の早稲田実も関東勢トップの14位と頑張っている。地元兵庫は4校がランクされているが、最高が12位明石中で突出したところは見当たらない。同じく大阪も19位に2校が並ぶ程度で、目立った活躍はしていない。前回ベストテン内の東海勢は中京商だけであったが、東邦商と岐阜商が入り、東海勢の躍進ぶりが目につく。

  都道府県別では、愛知が中京や東邦等の活躍により、

 兵庫を抜き、1位となった。優勝10回、準優勝4回を数える。2位は兵庫、突出した高校はないが、数校で勝利数を重ねている。優勝・準優勝共に6回を数える。3位は和歌山、和中や海草中の活躍が押し上げている。4位は京都と広島、大阪は6位。東京は11位  である。            

 

         4 昭和21年~30年                      

 

 

 ⑥昭和21年~30年

1 小倉  (福岡)    23

2 浪商  (大阪)  1

3 鳴門  (徳島) 13

4 芦屋    (兵庫)      12

5 中京商 (愛知)    11

6 松山商 (愛媛)    10

6 高知商  (高知)      10

8 岐阜商 (岐阜)       

9 平安  (京都)        

9 静岡商 (静岡)       

9 北野    (大阪)           

9 桐生  (群馬)    

13下関商 (山口)       

14明治  (東京)    

14八尾  (大阪)       

14徳島商 (徳島)       

14高松一  (香川)         

18成田  (千葉)    

18岐阜  (岐阜)    

18桐蔭  (和歌山)   

18済々黌 (熊本)       

 

 戦後再び高校野球が復活した。新しい学制により、中等野球大会から高校野球大会となった。よって、昭和23年夏の全国大会から中学の名が消えることとなった。さて、昭和21年から30年までの戦後10年間、戦後の荒廃の中、施設や物が不足する中。若者たちの躍動する姿は、人々に希望と勇気を与えた。

 さて、学校の勝利数だが、左表⑥の通りである。今まで上位に上ることがなかった小倉(福岡)が福島投手の活躍により夏連覇し、23勝をあげ1位となった。2位は浪華商から校名が変わった浪商、春と夏1度ずつ優勝し、14勝あげた。3位は春に優勝、準優勝した鳴門(徳島)13勝。4位は夏に優勝を飾った地元芦屋(兵庫)、6位高知商と新たな学校が台頭してきた。5位以下には、中京商、松山商、岐阜商、平安と戦前からの強豪校が顔を並べている。また、この上位校の特色として、進学校が多く登場した。1位小倉、9位北野(大阪)、18位岐阜(岐阜)、桐蔭(和歌山)、済々黌(熊本)、表にはないが、夏に優勝した湘南(神奈川)といずれも府県を代表する名門校である。この年代ほど、文武両道を感じさせる時期は他にはない。その他、新顔として、明治(東京)、八尾(大阪)、中西太が活躍した高松一(香川)、成田(千葉)があり、新しい時代を感じさせる。

 昭和30年までの通算勝利数は、左表⑦の通りである。今回も優勝し、戦前からコンスタントに勝利数を重ねて

  

 

⑦通算勝利数(~昭和30年)

1 中京商  (愛知)     50

2 松山商 (愛媛)    45

3 岐阜商 (岐阜)    41

3 桐蔭  (和歌山)41

5 平安  (京都)    37

6 東邦   (愛知)      29

7 浪商    (大阪)        27

8 高松商  (香川)      24

9 小倉  (福岡)    23

10広島商 (広島)    22

11松商学園(長野)    21

12早稲田実(東京)    19

12鳥取西 (鳥取)    19

14広陵  (広島)    18

15明石  (兵庫)    17

15向陽  (和歌山) 17

17下関商 (山口)    16

17桐生    (群馬)        16

17熊本工  (熊本)      16

 

いる中京商がついに50勝の大台を超えた。2位は夏2度の優勝を飾った伝統の松山商45勝。3位は41勝の岐阜商と桐蔭(戦前は和歌山中)、やはり戦前からの伝統校である。5位は夏に優勝した平安37勝、6位は戦後1勝もしていないが、今までの蓄積による東邦29勝、7位の浪商は前回19位から大幅にアップした。地元大阪の今後の飛躍を感じさせる。8位は高松商、10位広島商、11位松商学園(戦前は松本商)は今回1勝もせず、1ランクずつ下げた。9位には今回23勝をあげた小倉が食い込んだ。12位以下は、早稲田実、鳥取西(戦前鳥取一中)、広陵、明石、向陽(戦前は海草中)等戦前から実績のある学校が続いている。

 都道府県別の戦後10年間では、浪商、北野等が活躍した大阪が1位、2位は平安などの活躍による京都、3位は芦屋、洲本の活躍による兵庫で、地元近畿勢がベスト3を占めた。4位は小倉の活躍による福岡、愛知は5位、東京は10位、逆に戦前勝利数がほとんどなかった高知(5位)徳島(7位)が新勢力として上がってきた。 通算では、愛知が125勝と戦前に引き続き1位、2位は兵庫112勝、3位は京都と和歌山、5位に大阪が上がってきた。地元近畿勢の活躍が目立つ。東日本勢で

は、東京と長野が10位に入っている。戦後も相変わら

ず西高東低の傾向は続いている。特に躍進が目立つのが1勝もあげてなかった高知で、高知商、土佐の活躍により、45位から19位へ大幅に上昇した。                                                

 

     5 昭和31年~昭和40年

 

 

⑧昭和31年~昭和40年

1 中京商  (愛知)   23

1 岐阜商  (岐阜)    23

3 平安   (京都)    18

4 法政二  (神奈川)16

5 高松商    (香川)        15

6 作新学院 (栃木)    14

7 北海  (北海道)    138 徳島商  (徳島)  128 高知商  (高知)    1210浪商   (大阪) 1110早稲田実 (東京) 1110西条   (愛媛) 1113下関商  (山口) 1014銚子商  (千葉)  915東邦   (愛知)  815米子東  (鳥取)  817日大三  (東京)  717大宮   (埼玉)  717岡山東商 (岡山)  717済々黌  (熊本)   

 

  昭和31年から40年の日本は、戦後の混乱期を脱し、高度経済成長し、物が豊かになってきた。昭和39年には東京オリンピックが開催され、新幹線の開通など著しい発展を遂げた。もはや戦後ではないとも言われた。高校野球界も春夏連覇校、新たな強豪校が出現した。この10年間の各校の勝利数上位校は、左表⑧の通りである。1位は中京商と岐阜商23勝、中京は春の選抜で2度の優勝と準優勝があり、岐阜は準優勝を3度している。両校共相変わらず強豪校である。3位は平安18勝、夏に1度の優勝がある。4位は新勢力の法政二(神奈川)16勝、柴田投手(巨人)を中心にしたチームは昭和35年夏、36年春連続優勝、36年夏はベスト4。しかも浪商尾崎投手(東映)とは三度対戦し、三度目は浪商が雪辱し、優勝を飾った。この好ゲームは後世に語り継がれている。5位は高松商15勝、8位にも徳島商、高知商がランクされ、四国勢は強い。6位は作新学院14勝、作新は昭和37年史上初の春夏連覇を果たした。しかも夏は、エースの八木沢(ロッテ)が急病になり、代役の加藤(中日)が頑張り、優勝に導いた。同じようなことがランク外だが、高知(高知)にもあった。昭和39年夏エースの有藤(ロッテ)が1回戦に死球で退場、2回戦には主将も死球で退場、このような状況の中、チーム一丸となり、僅差で守り抜き、優勝を果たした。そ

   

 

⑨ 通算勝利数

1 中京商  (愛知)    73

2 岐阜商  (岐阜)    64

3 平安   (京都)    55

4 松山商  (愛媛)    49

5 桐蔭   (和歌山)45

6 高松商  (香川)    39

7 浪商   (大阪)    38

8 東邦   (愛知)    37

9 早稲田実 (東京)    30

10広島商  (広島)    26

10下関商    (山口)        26

12松商学園 (長野)    25

13小倉   (福岡)    23

14広陵   (広島)    22

14高知商    (高知)        22

16桐生   (群馬)  21

16徳島商  (徳島)  21

18鳥取西  (鳥取) 20

19明石   (兵庫)    19

20向陽   (和歌山)18

20熊本工  (熊本)    18

22静岡   (静岡)    17

 

の他、ランクされたチームの中には、次のような名選手もいた。平安には衣笠(広島)北海道初の準優勝の北海には若松(ヤクルト)、早実には世界の王(巨人)、下関商には池永(西鉄)、銚子商には木樽(ロッテ)、岡山東商には平松(大洋)。また、後強豪校となるPL学園(大阪)、横浜(神奈川)が初陣を飾っている。

 

 通算勝利数は、⑨表の通りである。1位中京商73勝、2位岐阜商64勝と8位東邦37勝と東海勢が上位を占める。続いて3位平安55勝、5位桐蔭45勝、7位浪商38勝と近畿勢が続く。次に4位松山商49勝、6位高松商39勝、14位高知商22勝、16位徳島商21勝と四国4商が次の勢力として続く。これらの地域が3強と言える。これらに続いて、10位広島商と下関商26勝、14位広陵22勝の中国勢である。東日本勢では、早実が30勝で9位に入り込んだ。松商学園は25勝12位、群馬の桐生21勝16位であった。高校野球が開始され、半世紀が経つが、上位の変動は少なく伝統校が顔をそろえている。今回活躍した法政二や作新学院

はまだまだ通算勝利の中には入れない。また北海道や東北、北陸勢は1校も登場してこない。高校野球は相変わらず「西高東低」の状態だ。野球は屋外で春から秋にかけて行う夏スポーツのため、温暖な地域が強く、「西高東低」なのかもしれない。 

 

 

 

   

 

    6 昭和41年~昭和52年

 

 

⑩昭和41年から52年まで

1 銚子商  (千葉)  20

2 中京   (愛知)  19

3 広島商  (広島) 18

4 報徳学園 (兵庫)  17

5 高知   (高知) 16

5 平安   (京都)  16

7 松山商  (愛媛)  15

7 天理   (奈良) 159 箕島     (和歌山) 13

9 今治西    (愛媛)      13

9 津久見  (大分) 1312東海大相模(神奈川)1212静岡商  (静岡) 1212倉敷工  (岡山) 1212広陵   (広島) 1216習志野  (千葉) 1116日大三  (東京) 11

16三重   (三重) 1119東邦   (愛知) 1019東洋大姫路(兵庫) 1021PL学園 (大阪)  921土佐   (高知)     

 

  昭和41年から52年までの12年間は、戦後も20年以上が過ぎ、高度経済成長はひき続き、昭和45年には大阪万国博覧会が行われ、日本はさらに発展した。

 高校野球では、昭和41年に中京商が春夏連覇の史上2度目の快挙をうちたて、昭和44年松山商と三沢(青森)の決勝戦では史上初の再試合となり、結局伝統のある松山商が優勝。しかし、負けた三沢の太田投手は実力と美男子から「こーちゃん」ブームが沸く起こり、高校球界最初のアイドル選手となった。また三沢の健闘は後世に語り継がれた。また昭和48年には「怪物江川(作新)」が登場、甲子園の予選から注目され、春には奪三振の記録まで作りながら、準決勝で広島商に敗れ、涙を飲んだ。さて、この間の勝利数上位校は表⑩の通りである。1位は銚子商(千葉)20勝、篠塚らの活躍により、初優勝を遂げている。2位は中京19勝、春夏連覇を果たし、校名も中京商から中京に変わった。3位は広島商18勝、機動力で江川を打ち崩し、優勝、準優勝を飾った。4位は報徳学園(兵庫)、5位高知(高知)、7位松山商はそれぞれ優勝している。9位では、箕島(和歌山)が台頭し、津久見は2度の優勝を果たした。16位習志野も2度優勝を遂げている。関東勢は、10度の優勝を記録し、1位の銚子商をはじめ、東日本勢が活躍した年代であった。

 また、この年代には、東海大相模には原(巨人)、静岡商に新浦(巨人)、広陵佐伯(広島)PL新美(日ハ

  

 

⑪戦後前半(昭和21~53年)

1 中京   (愛知)  53

2 平安   (京都)  42

3 岐阜商  (岐阜)  39

4 銚子商  (千葉)  32

5 高知商  (高知)  24

6 松山商  (愛媛)  29

7 浪商   (大阪)  28

8 小倉   (福岡)  24

8 高知   (高知)  24

10報徳学園 (兵庫)  22

10広島商  (広島)  22

10高松商  (香川)  22

13日大三  (東京)  21

13静岡商  (静岡      21

13徳島商  (徳島) 21  16倉敷工  (岡山) 2017作新学院 (栃木) 18

17早稲田実 (東京)  18

17東邦   (愛知) 1817天理   (奈良) 18

 

ム)、習志野掛布(阪神)らがいた。

 昭和21年から53年までの戦後前半の通算勝利数は⑪表の通りである。1位中京53勝で2位を大きく引き離している。2位平安42勝、3位は岐阜商39勝と相変わらず戦前からの名門が上位を占めている。しかし、4位には東日本勢を代表して、銚子商が32勝して上位に食い込んだ。5位高知商24勝も戦後になって、急激に伸びてきた。8位小倉、高知、10位報徳も戦後進出組だ。古豪組では、6位松山商、7位浪商、10位広島商、高松商は戦前から引き続き、勝利数を上げている。また、13位以下の新勢力としては、徳島商、倉敷工、作新、天理あたりだろうか。戦前活躍していて、ランク外は、桐蔭、鳥取西、松商学園、明石、向陽、市神港あたりだろうか、しかし、明石、市神港はほとんど甲子園出場もないが、他は出場をしているが、勝利数は少なくなった。それでも桐蔭は準優勝を2度遂げ、底力を見せている。

  都道府県別では、1位大阪で浪商を中心に5回優勝し、103勝あげ、戦後急激に勝利数を伸ばしてきた。2位は兵庫、5回優勝を飾り、5校がそれぞれ1度ずつ優勝している。3位は愛知、中京のがんばりはあるものの、戦前の勢いは弱まっている。4位は東京、戦前の11位から日大勢や早実の活躍により躍進した。5位は高知、

 戦前0勝が高知商、高知、土佐の活躍により戦後78勝をあげ、驚異的に伸び、強豪の仲間入りをした。また10位神奈川、12位千葉も大きく飛躍した。               

 

 

⑫通算勝利数

1 中京   (愛知)  92

2 岐阜商  (岐阜)  71

2 平安   (京都) 714 松山商  (愛媛) 645 東邦   (愛知) 476 高松商  (香川) 467 桐蔭   (和歌山)458 広島商  (広島) 449 浪商   (大阪) 4110早稲田実 (東京) 3410広陵   (広島) 3412銚子商  (千葉) 3213高知商  (高知) 3014松商学園 (長野) 2715下関商  (山口) 2616桐生   (群馬) 2416徳島商  (徳島) 2416高知   (高知) 2416小倉   (福岡) 2420日大三  (東京) 2320熊本工  (熊本) 2322報徳学園 (兵庫) 2222鳥取西  (鳥取) 2224静岡   (静岡) 2125倉敷工  (岡山) 20

 

  大正から昭和52年までの通算勝利数は左表⑫の通りである。やはり、戦前、戦後共に1位の中京が92勝で断トツである。優勝回数も10回を数えた。2位は岐阜商、戦前4位、戦後3位と戦前戦後にかけて活躍している。優勝も4回遂げている。同じく2位に平安が並んでいる。戦前5位、戦後2位とやはり安定した強みを持ち、夏に強く3回の優勝はいずれも夏である。4位は四国の雄松山商、戦前3位、戦後5位とやはり安定した強さを示し、5回の優勝がある。また何と言っても決勝再試合の優勝が光る。5位は東邦、春の東邦と言われるように3回の優勝はいずれも春である。また、ベスト5に愛知が2校入り、野球強豪県である。また3位の岐阜商も含め、東海勢が強さを見せている。6位は高松商、四国では松山商のライバルとして野球四国を牽引し、4回の優勝を遂げている。7位は桐蔭、戦前は和歌山中として圧倒的な強さをみせ2位だったが、戦後は和歌山県内でも箕島あたりに押され気味である。8位は広島商、戦前からの名門校である。戦中期やや精彩を欠いたが、また盛り返してきた。6回の優勝は中京に継ぐ。9位は浪商、戦前から強豪大阪を背負ってきた。4回の優勝を遂げているが、最近は大阪でも他校に押され気味である。10位に東日本勢の早実が入った。戦前戦後と着々と勝利数を上げている。ただ優勝は王投手の時の1回である。同じく10位は広陵、戦前から活躍している広島商の好敵手、この2校で広島のレベルを高めている。ベストテンは戦前からの強豪校に占められているが、12位以下には、戦後の新興校が登場する。まず12位の銚子商、昭和41年から52年まででは、勝利数1位に輝いた。高

 

知商も戦後に進出してきた。常に上位に勝ち進むが、まだ優勝はない。16位高知は勝利数では高知商の後塵を拝すが、2回の優勝を遂げている。この2校が高知を強豪県に変えた。同じく16位に徳島商が入る。ここに四国4商がそろい踏みし、四国の野球レベルの高さを示した。名門校小倉も終戦直後に連覇し、存在を高め16位となった。22位に地元兵庫の報徳学園がやっと入ってきた。兵庫は総合では、多くの学校が活躍し上位に食い込むが、代表的な強い学校はない。今後報徳がその存在になり得るか見物だ。都道府県別の通算では、1位は愛知、中京と東邦の勝利数が県7割を占めている。優勝回数も15回を数える。2位は兵庫、単独校の強さを発揮するチームはないが、地元の利を生かし、8校で10回の優勝を記録している。3位は地元大阪、浪商の4回をはじめ、7回の優勝を遂げている。4位は和歌山、和歌山中、海草、箕島と年代毎に強豪校がでて、7回優勝している。5位は京都、平安を中心に勝利を積み重ねている。第一回全国中等野球大会京都二中が記念すべき優勝を遂げている。ここまでは、5府県のうち4府県が地元近畿勢に占められている。6位は広島商、広陵の2校が特出している広島。7位に東京が東日本勢の意地を見せている。四国勢は8位愛媛、10位香川と高知、17位徳島と上位に入っている。9位は岐阜、13位に静岡と東海勢は入る。東北勢、北陸勢は、それぞれ最高が29位(秋田、岩手、宮城)と28位(福井)でふるわない。                                   

 

7 昭和53年から63年

 

  昭和53年から63年までの11年間は、戦後40年を迎え、さらに昭和天皇崩御により、昭和の終焉を迎える年代である。日本の経済成長は著しく伸び、世界2位まで飛躍した。技術が向上し「ジャパンワズナンバーワン」とまで称せられるようになった。

 

  高校野球界では、PL学園という怪物チームが登場し、54勝をあげ7回の優勝を遂げた。また、池田(徳島)は、金属バットに合わせた打法を開発し、従来の高校野球を覆すパワー野球を確立した。春夏連覇は箕島とPLが成し遂げた。中でも箕島は星稜(石川)と18回延長の激闘を乗り越えた連覇だった。

 

 

⑬昭和53年~昭和63年

1 PL学園 (大阪) 54

2 池田      (徳島)    32

3 高知商    (高知)   23

4 箕島      (和歌山)   21

5 中京      (愛知)          19

6 天理      (奈良)          18

7 東北      (宮城)          14

7 帝京      (東京)          14

7 東海大甲府(山梨)    14

10早稲田実  (東京)      13

10横浜商    (神奈川)  13

10広島商    (広島)        13

10宇部商    (山口)        13

14報徳学園  (兵庫)      12

15浜松商    (静岡)        11

16東洋大姫路(兵庫)     10

16沖縄水産  (沖縄)      10

18鹿児島商工(鹿児島) 9

 

  昭和末期11年間の各校の勝利数は⑬表の通りである。この間PL学園が1位となり、爆発的な躍進をし54勝、7回の優勝、2回の準優勝を上げた。今までPLは、準優勝2回の実績があったものの、中々優勝までにたどりつかなかった。しかし、昭和53年夏、準決勝で中京、決勝では高知商に逆転勝ちし、波に乗った。桑田、清原のKKコンビは、昭和58年1年生からレギュラーとして、5期連続出場、この間優勝、準優勝2回ずつ、ベスト4をあげた。2年後昭和62年立浪主将が率いたチームは春夏連覇を達成した。2位は32勝池田、四国山奥のチームが今までの高校野球界に革命を起こし、パワフル野球によって、3回優勝をし全国に名をはせた。3位は23勝高知商、強豪校であったが、昭和55年春初優勝を遂げた。4位は21勝箕島、粘り強いチームカラーで昭和54年春夏連覇に輝いた.延長18回の星稜戦は後世に語り継がれている。5位は19勝中京、一時の勢いは成りを潜めたが、名門のプライドは継がれている。6位は18勝天理、昭和62年夏初優勝を遂げた。7位は14勝で東日本勢東北、帝京、東海大甲府が続いた。また、新興校として横浜商、宇部商、浜松商、沖縄水産が登

  

 

⑭通算勝利数

1 中京   (愛知)111

2 岐阜商  (岐阜) 77

3 松山商  (愛媛)    72

4 平安   (京都) 71

5 PL学園 (大阪) 68

6 広島商  (広島) 57

7 高知商  (高知) 53

8 東邦   (愛知) 51

9 高松商  (香川) 50

10浪商   (大阪) 49

11早稲田実 (東京) 47

12桐蔭   (和歌山)45

13広陵   (広島) 39

14池田   (徳島) 37

15天理   (奈良) 36

16箕島   (和歌山)34

16報徳学園 (兵庫) 34

18銚子商  (千葉) 32

19熊本工  (熊本) 31

20松商学園 (長野) 29

20高知   (高知) 29

21桐生   (群馬) 28

場した。いずれも準優勝以上を果たしている。

 この時期の選手として、高知商の球道君こと中西(阪神)、早実の荒木(ヤクルト)、江の川(島根)の谷繁(中日)、東北の大魔神佐々木(横浜)、名電(愛知)の工藤(西武)がいる。

  大正から昭和までの通算勝利数は、⑭表の通りである。1位は中京で111勝、史上初の100勝突破校となった。ただ今回優勝・準優勝を果たすことはできなく、やや勢いが鈍化してきた。2位は岐阜商、3位は松山商、4位平安、6位広島商、8位東邦、9位高松商と戦前からの名門校が今までの累積があり、上位に入っている。しかし、広島商以外は優勝していない。逆に伸びてきたのがPLでランク外から一気に5位に躍進した。今では中京を凌ぐ勢いである。高知商も前回13位から7位に上がった。毎回好投手を甲子園に送り込んでいる。14位池田も蔦野球が浸透し、ランク外から上がってきた。ただ東日本勢が早実の11位が最高でベストテンに入っていないのがさみしい。前回東日本勢が飛躍したが、今回はPL、池田の爆発力に陰を潜めたようである。

  都道府県別では、1位は愛知で中京、東邦の他、名電等の活躍が光った。2位はPLの活躍により、大阪となった。上宮や北陽も健闘した。3位は兵庫、報徳学園や東洋大姫路ら多数の学校が勝利を重ねている。

  4位は東京、早実の他帝京、岩倉等が台頭した。夏2校参加できることは有利な条件となった。以下、和歌山、広島、京都、愛媛、高知、岐阜と続く。その次が神奈川で、横浜、横浜商の活躍でベストテン内も目前と迫ってきた。                               

 

8 平成元年~平成12年

 

 

⑮平成元年~平成12年

1 智弁和歌山(和歌山)31

2 PL学園 (大阪)    22

3 天理   (奈良) 21

4 帝京      (東京)          20

4 鹿児島実  (鹿児島) 20

6 仙台育英  (宮城)      17

6 明徳義塾  (高知)      17

8 上宮      (大阪)          15

8 育英      (兵庫)          15

8 樟南      (鹿児島)   15

11横浜   (神奈川)14 12常総学院 (茨城) 12

13徳島商    (徳島)        11

13沖縄水産  (沖縄)      11

13平安      (京都)          11

16東海大相模(神奈川)10

16桐生一    (群馬)        10

16尽誠学園  (香川)      10

16柳川      (福岡)          10

 

 平成元年から12年までの20世紀末は、世界ではソ連が崩壊し東西冷戦が解消した。日本ではバブル景気から徐々に下降し、オウム事件や阪神大震災と世情を暗くした。

  高校野球では、星稜松井の5敬遠があり、横浜が怪物松坂によって春夏連覇を果たした。

  この12年間で1位になったのは31勝をあげた智弁和歌山(和歌山)、優勝3回、準優勝も遂げた。また近畿地方から新たな強豪校が登場した。2位はPL学園、ベスト4どまりだったが、横浜との激闘は有名である。3位は二度優勝を飾った天理、前回の6位と好調さを持続した。4位は帝京(東京)、吉岡、三沢らによって3回優勝し、初のランクインした。同じく4位は鹿児島実(鹿児島)、春に鹿児島勢初の優勝をもたらした。6位は2度準優勝した仙台育英(宮城)と初戦高勝率を誇る明徳義塾(高知)、新顔がランクインした。8位以下では、上宮(大阪)、育英(兵庫)、樟南(鹿児島)、横浜(神奈川)、常総学院(茨城)が初ランクインし、平成に入り、大分顔ぶれが変わった。

  都道府県別では、1位が大阪、2位に東京、3位に横浜が活躍した神奈川が入った。5位鹿児島、7位奈

  

 

⑯通算勝利数

1 中京大中京(愛知)116

2 PL学園 (大阪)    90

3 平安   (京都)    82

4 岐阜商  (岐阜)    80

4 松山商  (愛媛)    80

6 東邦   (愛知)    60

6 広島商  (広島)    60

8 高知商  (高知)    58

9 天理   (奈良)    57

10高松商  (香川)    53

11浪商   (大阪)    49

12早稲田実 (東京)    48

13広陵   (広島)    46

14桐蔭   (和歌山)45

15池田   (徳島)   41

16報徳学園 (兵庫)    40

17銚子商  (千葉)    38

17松商学園 (長野)    38

17熊本工  (熊本)    38

20徳島商  (徳島)    37

21箕島   (和歌山)35

22帝京   (東京)   34

 

良も初のベストイン入りした。

 選手では、松井(巨人)松坂(西武)の他、愛工大名電イチロー、徳島商川上(中日)桐蔭学園高橋由(巨人)、東福岡村田(横浜)がいる。

 通算勝利数は⑯表の通りである。1位は中京から校名を変えた中京大中京、今回ランク外だったが、久々に準優勝を果たした。2位は前回5位から上昇したPL、前回のような爆発力は鳴りを潜めたが、まだまだ勢いがある。3位平安、4位岐阜商、松山商と古豪が続き、松山商は平成8年夏7度目の優勝を遂げた。6位は久々の優勝を遂げた東邦、古豪広島商。8位高知商、9位に2度の優勝で上昇した天理、初のベストテン入りをした。10位高松商から14位桐蔭まで古豪が続き、前回飛躍した15位池田、21位箕島は県内でも他校に押され、ブレーキがかかった。また帝京が初のランクインを果たした。

 都道府県別では、大阪がPL、上宮、近大付、大阪桐蔭の活躍により、初めて1位に君臨した。2位は兵庫、多数の参加数により勝ち星を重ねた。3位は長い間1位を保ってきた愛知、世紀末になり勢いが衰えた。  4位は前回に続き、東京。帝京が台頭してきた。5位は和歌山、この県はいつの年代にも強豪校が出現する。上昇県としては、神奈川が9位とベストテン入りした。

 

 

9 平成13年~平成26年

 

 

⑰平成13年~27年

1 大阪桐蔭 (大阪)  37

2 明徳義塾 (高知)  28

智弁和歌山(和歌山) 25

4 日大三  (東京)  24

5 横浜  (神奈川)  22

5八戸学院光星(青森)  22

7 仙台育英 (宮城)  

8 広陵   (広島)  20

8 常総学院 (茨城)  20

10帝京   (東京)  17

10浦和学院 (埼玉)  17

12駒大苫小牧(北海道)16

12常葉菊川 (静岡)  16

12中京大中京(愛知)  16

15東北   (宮城)  15

15聖光学院 (福島) 15

15報徳学園 (兵庫)  15

15天理   (奈良)  15

19龍谷大平安(京都)  14

19沖縄尚学 (沖縄)  14

 

             

  新世紀21世紀を迎えた。平成13年から26年までの14年間、日本では東日本大震災による津波が起こり、未曾有の被害をもたらした。このことは高校野球にも影響し、直後の春の選抜開催が危ぶまれたが、予定通り開催した。

  この14年間では、大阪桐蔭(大阪)が4回優勝、春夏連覇とPLに代わり大躍進した。また、北海道と沖縄のチームが優勝し、活躍するチームが拡散する動きがみられた。

  この14年間の勝利数は⑰表通りである。1位は37勝で大阪桐蔭、またも野球どころ大阪に怪物チームが現れた。平成24年には藤浪(阪神)投手の活躍で史上7度目の春夏連覇を遂げた。2位は明徳義塾28勝、毎回初戦に強く好成績をあげているが、平成14年夏初優勝をあげた。3位は智弁和歌山25勝、前回の1位からダウンしたものの、相変わらずの試合巧者ぶりは変わらない。4位は日大三24勝、夏2度の優勝を遂げた。5位は横浜22勝、春の優勝、準優勝を遂げた。注目は同じく5位八戸学院光星(青森)22勝、3期連続準優勝を果たした。7位仙台育英(宮城)21勝、2度の準優勝を遂げた。特筆されるのは12位駒大苫小牧、北海道初の優勝をもたらした。しかも

  

 

 ⑱戦後後半(S53~H27)

1 PL学園 (大阪)    82

2 智弁和歌山(和歌山)56

3 天理   (奈良)    54

4 明徳義塾  (高知)      53

5 帝京   (東京) 51

6 横浜      (神奈川)   44

6 大阪桐蔭 (大阪)    44

8 中京大中京(愛知)    40

8 仙台育英 (宮城)    40

10常総学院 (茨城)    38

11池田   (徳島)    37

12東洋大姫路(兵庫)    33

12報徳学園  (兵庫)      33

14広陵   (広島)    32

15東北   (宮城)    31

15早稲田実  (東京)      31

17高知商    (高知)        29

18福井商  (福井)    28

19鹿児島実  (鹿児島) 27

20日大三    (東京)        26

21龍谷大平安(京都)    25

22箕島      (和歌山)   24

23熊本工    (熊本)        22

 

中京商以来の夏3連覇を目指したが、決勝再試合で早実斎藤(日ハム)に阻まれた。しかし、優勝2回、準優勝は立派。それにしても全体的な顔ぶれは、大分変化した。戦前からのチームは広陵、校名を変えた中京、平安くらいで、PLも入っていない。また強かった商業高校が一校もランク入りしていない。

  都道府県別では、1位東京、2位大阪、3位神奈川、4位兵庫、5位沖縄・宮城、常勝愛知は7位、8位高知、9位愛媛、10位北海道、青森が入っている。

  この間には、東北ダルビッシュ(レンジャーズ)PL前田健(広島)大阪桐蔭中田(日ハム)花巻東大谷(日ハム)がいる。

  昭和53年から平成26年までの戦後後期の勝利数は⑱表の通りである。1位はPL学園、多くのプロ野球選手を輩出し、7回優勝82勝は驚異的な数である。2位は智弁和歌山、優勝・準優勝3回ずつとげ56勝をあげた。3位は天理54勝、4位明徳義塾53勝、西日本勢がベスト4を占めた。5位帝京51勝、6位は横浜と新興勢力大阪桐蔭44勝、8位には古豪中京大中京と仙台育英、10位常総学院と続く。

  やはり時代と共に顔ぶれも変わり、戦前からの上位は、中京大中京、広陵、早実と龍谷大平安くらいである。多数の強豪商業高校もランク内には、高知商、福井商2校のみで、激減した。

  都道府県別では、1位大阪、PL学園と大阪桐蔭の2枚看板の活躍が光る。2位東京、帝京、早実、日大

  

 

⑲通算勝利数(優勝回数)

1 中京大中京(愛知)133⑪

2 PL学園  (大阪)      96⑦

2 龍谷大平安(京都)    96④

4 岐阜商    (岐阜)        87④

5 松山商   (愛媛)    80⑦

6 天理      (奈良)          72③

7 東邦      (愛知)          67④

8 広陵      (広島)          66③

9 早稲田実  (東京)      65②

10広島商    (広島)        62⑦

11高知商    (高知)        59①

12智弁和歌山(和歌山)56③

13横浜      (神奈川)   55⑤

13報徳学園  (兵庫)      55③

15高松商   (香川)      54④

16明徳義塾  (高知)      53①

17帝京      (東京)          51③

18大体大浪商(大阪)    49④

18日大三    (東京)        49③

20桐蔭      (和歌山)   45③

20熊本工    (熊本)        45

22大阪桐蔭  (大阪)      44⑤

23池田      (徳島)          42③

23東北      (宮城)          42

23仙台育英  (宮城)      42 

26徳島商    (徳島)        41①

27銚子商   (千葉)      39①

28松商学園  (長野)      38①

28東海大相模(神奈川)38③

28常総学院  (茨城)      38②

31箕島      (和歌山)   37④

32高知      (高知)          34②

32今治西    (愛媛)        34

34東洋大姫路(兵庫)    33①

34福井商    (福井)        33

36鹿児島実  (鹿児島) 32①

37作新学院  (栃木)      31②

37静岡   (静岡) 31①

39浦和学院 (埼玉)    30①

 

三トリオが活躍した。3位は神奈川、横浜と東海大相模がポイントゲッターとなった。4位兵庫、5位愛知、6位高知が入った。7位和歌山、8位広島、9位愛媛と古豪が続き、10位は沖縄でベストテン入りした。健闘したのが、13位宮城、18位北海道あたりである。逆は、15位京都、30位岐阜、31位香川、42位長野である。

  大正から平成26年まで約100年間の通算勝利数は、⑲表の通りである。左表は勝利数と○内には優勝回数を入れた。やはり通算では戦前からの蓄積がある古豪が目立つ。1位は中京大中京133勝11回優勝は最多である。100勝以上も中京1校のみで、2位以下を大きく離している。2位は96勝でPL学園と龍谷大平安、PLは新興校だが、最近野球部存続の危機もあり足踏みし、単独2位から平安に追いつかれた。4位岐阜商、5位松山商と古豪校が続くが、最近両校共勢いが弱い。6位天理、戦後進出してきた。奈良の競争率も低いため、さらに上位を望める。7位東邦、最近県内で愛工大名電に押されている。8位広陵は、ライバル10位広島商を抜き、戦前から息の長い活躍をしている。9位は早実、戦前からの伝統は続いている。

  11位以下では、古豪、停滞、新興勢力の3パターンに分かれる。古豪では、15位高松商、18位大体大浪商、20位桐蔭が入っている。桐蔭は最近は出場機会も少なく、戦前無敵の和歌山中はどこへいってしまったやら、大分通算順位も下げた。

  やや停滞しているのは、11位高知商、22位池田、26位銚子商、28位箕島、いずれも強豪として名を馳せたチームである。停滞の原因として、商業校の人気低下と公立校の監督交代があげられる。

  新興勢力は、12位智弁和歌山、13位横浜、16位明徳義塾、17位帝京、22位大阪桐蔭あたりであろうか。歴史は浅いが、横浜と大阪桐蔭は5回優勝し、これは歴代5位の記録である。

  都道府県別では、1位大阪、2位兵庫、3位愛知、4位東京、5位和歌山、6位広島、8位京都、9位愛媛と戦前からの強豪が続く。7位神奈川、10位高知は戦後から進出してきた県である。

  このように高校野球盛衰史高校編をまとめてきた。年代によって強豪校が変わり、今後もその動きは変わらない。今後も目が離せない高校野球である。

 

 

【付録】                
  高校野球学校別盛衰史から数をグラフ化すると、下記のように5つに分類できる。グラフの見
方は、横軸が各年代で縦軸がその年代の勝利数を表したものである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
                 
                 
                 
①長期強豪型  上記グラフでは、中京(中京大中京)が該当し、戦前から平成まで高い数値
で推移する。
②長期持続型  熊本工が該当し、数値は高くないが、戦前から平成まで長期間勝利を重ねている。
いる。
③衰退型   桐蔭(和歌山)が該当し、全盛期を迎えたが、現在低迷し右肩下がりのグラフである。
である。
④新興勢力型 明徳(高知)が該当し、昭和後期から急激に伸び右肩あがりのグラフである。
⑤山型   池田が該当し、一時全盛期を迎えたが、現在低迷し、山型のグラフである。
①長期強豪型
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「長期強豪型」は、上記グラフのように戦前から平成の長い間、勝利を重ねている高校で、中京(中京大中京)の他、平安(龍谷大平安)、岐阜商、早実がこの型の属する。それぞれ通算勝利数も中京1位、平安2位、岐阜商4位、早実10位と上位に入っている。  
 中京(中京大中京)の他、平安(龍谷大平安)、岐阜商、早実がこの型の属する。それぞれ通算勝利数も中京1位、平安2位、岐阜商4位、早実10位と上位に入っている。  

 

②長期持続型
 
               
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
「長期持続型」は、戦前から平成にかけて数値は高くないものの、長い間に勝利数を重ねて
いる高校で、強豪型に比べて、数値が低く通算勝利数も低い。熊本工の他に徳島商、松商学園
がそれにあたる。通算勝利数は20位熊本工、26位徳島商、28位松商学園である。
③衰退型
 
               
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
 「衰退型」は、過去に全盛期があり、現在はほとんど勝利をあげていない右肩下がりの高校
である。桐蔭(和歌山中)がこれにあたり、和歌山中時代大正期全国1位、戦前2位という勝利数
数であったが、昭和37年以降勝ち星はない。浪商(大体大浪商)も昭和21~30年は2位だったが、
ったが、昭和55年以降勝ち星がない。浪商のグラフは、⑤山型にやや似ている。
④新興勢力型
 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 

 

「新興勢力型」は、昭和後半以降に登場し、その後勝利数を重ね、右肩上がりのグラフになっている
いる高校である。明徳義塾の他、常総学院、横浜、大阪桐蔭などがこの型に属す。これらの高校
は、今後も勝利数を重ねていく勢いがある。
 
⑤山型
 
 
               
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
                 
「山型」は、一時全盛期を迎え、その後衰退するというグラフが山型になっている高校である。
これらの高校は、30年前なら「新興勢力型」に属していたが、その後衰退した。池田の他、
PL学園、箕島が山型に属する。いずれも一時代を築いた名門校である。